姫は魔法を使える。
姫 「それそれ」
近衛 「うわあああ!」
今も自室にて近衛の体を宙に浮かび上がらせ遊んでいた。
姫 「ふふふ、飛行機みたいに飛ぶのって楽しいでしょ?」
近衛 「は………速すぎです…………姫……様……」
姫が立てる右手の人差し指の回りをギュンギュンと回転する近衛。
ちなみに姫の人差し指の直径は1.5km。近衛はその指の周囲を直径3kmの円を描くように飛行している。その円周9.42km。秒間およそ10周。
つまり一秒間に94.2kmもの距離を飛行していることになる。それはイコール時速34万kmもの速さで飛行しているということだ。
生身の近衛が耐えられているのは姫が魔法で守っているからかなんなのか。
キキィッとブレーキがかかって止められる近衛。次に飛行させられた先は姫の顔の前だった。
姫 「ふふ、さぁ次は何して遊ぶ?」
10万倍サイズの巨大な顔が楽しそうに笑う。
くりくりと動く青い瞳だけでも直径1km以上の大きさがある。まるで湖のようだ。
近衛 「も、もう勘弁してください…」
音速の300倍近い速さで飛行していた近衛が虫の息になりながら言った。
と、そこで部屋の扉がノックされる。
大臣 「姫様、よろしいですか?」
姫 「どうしたの?」
大臣 「本日は天気もいいので各地の閉鎖された古い都市の処分をお願いしたく思いまして」
姫 「そう言えばそんな話もあったね。うん、行ってくるよ」
大臣 「ありがとうございます。リストはこちらに用意してありますので」
姫 「わかった。行こ、近衛君」
姫はずんずん歩いていく。
全長24km幅9kmの足をサンダルに乗せて。
もう雲ですら姫のくるぶしの高さを漂う大きさ。山などサンダルで踏みつけても気づくこともできない。
直径1kmの町は姫にとっては1cm。気にせず歩いていたら見つけることも困難な大きさだ。
もちろん姫は周辺の町などすべて見えているのだろうが。
姫 「それで、最初の都市はどこなの?」
近衛 「えーと、北の大山脈の向こうですね。かつては大盛栄を誇ったそうですが、時代の流れとともに国の人口が南下して廃れてしまったそうです」
姫 「そうなんだ。北の大山脈ってことは結構遠いよね」
とは言っても、姫の大きさなら数分とかからない距離であろう。
逆に言えば超巨大な姫でも数分かかる距離ということだが。
姫 「よいしょっと」
ズシン ズシン
大山脈を跨いで地面を踏みしめる。
そして足元を見てみれば、確かにそこに都市だったであろう廃墟を見つけられた。
姫 「これかな? へー、結構 大きかったんだね」
しゃがみこんで都市を見下ろす姫。
姫の足元には城壁で円形にぐるりと囲まれた町があった。町の直径は10km。姫から見れば10cm程度である。
姫 「んー折角ここまで大きな町なのに、処分するのはもったいないよね。まだあまり壊れてないみたいだし」
近衛 「しかしこの都市は設備が古く今の技術は満足に機能しないようで。流石に民を住まわせるには…」
姫 「そうだよねー。……あれ? 処分するっていうことはもういらないってことだよね?」
近衛 「はい、そうです」
姫 「なら、わたしがもらってもいいのかな?」
近衛 「へ? ああ、はい。それはもちろんですが…」
姫 「やった! じゃあ持って帰ろ」
言って姫は都市に手を伸ばした。
ただし直接 触れはしない。10万倍の大きさの姫の力は途方もなく、うっかり壊してしまうということは十分にあり得るからだ。
姫は都市に手を向けた。
姫 「えい」
ボゴォ! 都市が地面ごと宙に浮かび上がる。姫の魔法で空に浮かび上がったのだ。
姫 「ふふ、どこも壊れてないね」
姫が立ち上がると、浮かび上がった都市もスーーッと姫の顔の高さにまで上昇してくる。
姫 「それじゃあ次の町も拾いに行こ」
近衛 「…はい、かしこまりました」
姫たちは次の町を目指して歩き始めた。
姫 「それそれ」
近衛 「うわあああ!」
今も自室にて近衛の体を宙に浮かび上がらせ遊んでいた。
姫 「ふふふ、飛行機みたいに飛ぶのって楽しいでしょ?」
近衛 「は………速すぎです…………姫……様……」
姫が立てる右手の人差し指の回りをギュンギュンと回転する近衛。
ちなみに姫の人差し指の直径は1.5km。近衛はその指の周囲を直径3kmの円を描くように飛行している。その円周9.42km。秒間およそ10周。
つまり一秒間に94.2kmもの距離を飛行していることになる。それはイコール時速34万kmもの速さで飛行しているということだ。
生身の近衛が耐えられているのは姫が魔法で守っているからかなんなのか。
キキィッとブレーキがかかって止められる近衛。次に飛行させられた先は姫の顔の前だった。
姫 「ふふ、さぁ次は何して遊ぶ?」
10万倍サイズの巨大な顔が楽しそうに笑う。
くりくりと動く青い瞳だけでも直径1km以上の大きさがある。まるで湖のようだ。
近衛 「も、もう勘弁してください…」
音速の300倍近い速さで飛行していた近衛が虫の息になりながら言った。
と、そこで部屋の扉がノックされる。
大臣 「姫様、よろしいですか?」
姫 「どうしたの?」
大臣 「本日は天気もいいので各地の閉鎖された古い都市の処分をお願いしたく思いまして」
姫 「そう言えばそんな話もあったね。うん、行ってくるよ」
大臣 「ありがとうございます。リストはこちらに用意してありますので」
姫 「わかった。行こ、近衛君」
姫はずんずん歩いていく。
全長24km幅9kmの足をサンダルに乗せて。
もう雲ですら姫のくるぶしの高さを漂う大きさ。山などサンダルで踏みつけても気づくこともできない。
直径1kmの町は姫にとっては1cm。気にせず歩いていたら見つけることも困難な大きさだ。
もちろん姫は周辺の町などすべて見えているのだろうが。
姫 「それで、最初の都市はどこなの?」
近衛 「えーと、北の大山脈の向こうですね。かつては大盛栄を誇ったそうですが、時代の流れとともに国の人口が南下して廃れてしまったそうです」
姫 「そうなんだ。北の大山脈ってことは結構遠いよね」
とは言っても、姫の大きさなら数分とかからない距離であろう。
逆に言えば超巨大な姫でも数分かかる距離ということだが。
姫 「よいしょっと」
ズシン ズシン
大山脈を跨いで地面を踏みしめる。
そして足元を見てみれば、確かにそこに都市だったであろう廃墟を見つけられた。
姫 「これかな? へー、結構 大きかったんだね」
しゃがみこんで都市を見下ろす姫。
姫の足元には城壁で円形にぐるりと囲まれた町があった。町の直径は10km。姫から見れば10cm程度である。
姫 「んー折角ここまで大きな町なのに、処分するのはもったいないよね。まだあまり壊れてないみたいだし」
近衛 「しかしこの都市は設備が古く今の技術は満足に機能しないようで。流石に民を住まわせるには…」
姫 「そうだよねー。……あれ? 処分するっていうことはもういらないってことだよね?」
近衛 「はい、そうです」
姫 「なら、わたしがもらってもいいのかな?」
近衛 「へ? ああ、はい。それはもちろんですが…」
姫 「やった! じゃあ持って帰ろ」
言って姫は都市に手を伸ばした。
ただし直接 触れはしない。10万倍の大きさの姫の力は途方もなく、うっかり壊してしまうということは十分にあり得るからだ。
姫は都市に手を向けた。
姫 「えい」
ボゴォ! 都市が地面ごと宙に浮かび上がる。姫の魔法で空に浮かび上がったのだ。
姫 「ふふ、どこも壊れてないね」
姫が立ち上がると、浮かび上がった都市もスーーッと姫の顔の高さにまで上昇してくる。
姫 「それじゃあ次の町も拾いに行こ」
近衛 「…はい、かしこまりました」
姫たちは次の町を目指して歩き始めた。