バーグマンの瞳に魅せられて 内山理名さん
2013年4月17日
内山理名さん
20代に観た时と今では、ラストシーンに対する印象が违ったという
ヘアメイク/佐々木笃(GLUECHU)、スタイリスト/加藤畅子、衣裳协力/アディアム インターナショナル 问い合わせ03-3403-3030
「新・午前十时の映画祭」で上映する25作品から、とっておきの1作を俳优の皆さんに挙げてもらいました。女优・内山理名さんが选んだのは「カサブランカ」(1942年)。アメリカ映画史上に残る、ラブロマンスの杰作です。
◇
初めて「カサブランカ」を観(み)たのは22歳の顷。それから何度か鉴赏し、30歳を过ぎて最近また観ました。とにかくヒロインのイルザを演じるイングリッド・バーグマンの気品に満ちた美しさに毎回圧倒されます。ただ外见がきれいというだけではなく、内侧から溢れ出る美しさに惚れ惚れします。「君の瞳に乾杯」というだけあって、瞳も美しい。女优というのはやはり瞳の辉きが大切なんだなとつくづく思います。
■ラストシーンは何度観てもキュンとする
夜雾のかかった飞行场でかつての恋人リック(ハンフリー・ボガート)と别れるラストシーンの、バーグマンの表情も抜群。セリフが少ないだけに、いろんな思いが凝缩されている。それだけに切なく、あの表情を観るたびに胸がキュンと缔めつけられます。
ナチス抵抗运动の指导者であり、夫であるラズロを助けてもらうため、イルザが夜中にこっそりリックに会いに行きます。このシーンのバーグマンも大好き。女性って、好きな男の人の前だと强がってみせるところがあるじゃないですか。彼女も最初は毅然とした态度で接します。でも、本当はただただリックに会いたかった。话をしているうちに燃え上がる恋心が抑えきれなくなっていき、本心がどんどん透けて见えてくる。彼女の心を覆っていた铠が次々にはがされていくわけです。あの感じがたまらなく好きですね。このシーンでイルザが「代わりに考えて」と、リックに人生の选択を托すセリフを言います。思わず、私もあんな风に男性に言ってみたい(笑)と。同时に女性にこんなことを言わせてしまう男性もまた素敌过ぎます。
実は20代に観た时は、そう言われて彼女を手放してしまうリックの选択がカッコよすぎて何だかなあと思っていました。そんなに物分かりが良くなくていいのになって。でも、30歳を过ぎ、改めて観た时、リックの行动は正しい、イルザの幸せを心底考えた上なんだからと思えました。别れはお互いつらかったはず。でも、结局夫ラズロと逃げた彼女はその后、何年も幸せに生きたのではないかと。何だかそんなことを思いました。
いずれにしても、恋爱には人生を动かす力があるんだな、すごいなあって実感しました。私の人生もこんなふうに、爱によって突き动かされることがあるのかも(笑)。人生、何が起こるかわからないですからね。
■何度観ても新たな感动が涌き上がる
この映画は基本的にはラブロマンスなのですが、今回あらためて観て、男の友情を描いた物语でもある気がしました。ラストの、リックとルノー署长とのやりとりなんて最高です。男同士の友情は女性よりも深いものがあっていいなあ、としみじみ思いました。同じ映画でも、こんなふうに観た时の年齢によって感じることが违うのも面白いですよね。
映画は大好きで、自宅でもBGM代わりに映画のDVDをつけたままにしたり、ロケ先にも必ず复数の映画のDVDを持参しています。特にシリアスで难しい役の时ほど、「私をジェットコースターでどこか违う世界へ连れてって」なんて考えるほど、思い切り気分転换したくなります。それを気軽に実现してくれるのが、私にとってはまさに映画なんです。
とはいえ、本当に観たいものは映画馆へ行きます。自宅だとつい他のことも気になって集中できないことも多いので。だから、映画馆の真っ暗な空间で、作品の世界にどっぷり浸るってものすごく赘沢なひとときでもあるわけです。
「新・午前十时の映画祭」は、なかなか映画馆で観ることのできない不朽の名作ばかりを上映してくれるのでうれしい。映画好きには本当にありがたいことです。「ローマの休日」「风と共に去りぬ」なども好きなので、この机会に映画馆で観たいです。「カサブランカ」も大スクリーンで観たら、また违った感情が涌き上がってきそう。何度観ても饱きないし、新たな感动を楽しめるのが不朽の名作の何よりの魅力です。(谈)
◇
うちやま・りな
1981年神奈川県生まれ。98年デビュー。テレビ、映画、CMの他、2008年からは积极的に舞台にも出演。映画主演作に「深红」「远くの空」など。3月30日から公开中の映画「恐竜を掘ろう」(大和田伸也监督)にも出演。BSジャパン「千の川物语~にっぽん美しき水风景」(隔周月曜夜10时54分~)のナレーションを担当。
2013年4月17日
内山理名さん
20代に観た时と今では、ラストシーンに対する印象が违ったという
ヘアメイク/佐々木笃(GLUECHU)、スタイリスト/加藤畅子、衣裳协力/アディアム インターナショナル 问い合わせ03-3403-3030
「新・午前十时の映画祭」で上映する25作品から、とっておきの1作を俳优の皆さんに挙げてもらいました。女优・内山理名さんが选んだのは「カサブランカ」(1942年)。アメリカ映画史上に残る、ラブロマンスの杰作です。
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初めて「カサブランカ」を観(み)たのは22歳の顷。それから何度か鉴赏し、30歳を过ぎて最近また観ました。とにかくヒロインのイルザを演じるイングリッド・バーグマンの気品に満ちた美しさに毎回圧倒されます。ただ外见がきれいというだけではなく、内侧から溢れ出る美しさに惚れ惚れします。「君の瞳に乾杯」というだけあって、瞳も美しい。女优というのはやはり瞳の辉きが大切なんだなとつくづく思います。
■ラストシーンは何度観てもキュンとする
夜雾のかかった飞行场でかつての恋人リック(ハンフリー・ボガート)と别れるラストシーンの、バーグマンの表情も抜群。セリフが少ないだけに、いろんな思いが凝缩されている。それだけに切なく、あの表情を観るたびに胸がキュンと缔めつけられます。
ナチス抵抗运动の指导者であり、夫であるラズロを助けてもらうため、イルザが夜中にこっそりリックに会いに行きます。このシーンのバーグマンも大好き。女性って、好きな男の人の前だと强がってみせるところがあるじゃないですか。彼女も最初は毅然とした态度で接します。でも、本当はただただリックに会いたかった。话をしているうちに燃え上がる恋心が抑えきれなくなっていき、本心がどんどん透けて见えてくる。彼女の心を覆っていた铠が次々にはがされていくわけです。あの感じがたまらなく好きですね。このシーンでイルザが「代わりに考えて」と、リックに人生の选択を托すセリフを言います。思わず、私もあんな风に男性に言ってみたい(笑)と。同时に女性にこんなことを言わせてしまう男性もまた素敌过ぎます。
実は20代に観た时は、そう言われて彼女を手放してしまうリックの选択がカッコよすぎて何だかなあと思っていました。そんなに物分かりが良くなくていいのになって。でも、30歳を过ぎ、改めて観た时、リックの行动は正しい、イルザの幸せを心底考えた上なんだからと思えました。别れはお互いつらかったはず。でも、结局夫ラズロと逃げた彼女はその后、何年も幸せに生きたのではないかと。何だかそんなことを思いました。
いずれにしても、恋爱には人生を动かす力があるんだな、すごいなあって実感しました。私の人生もこんなふうに、爱によって突き动かされることがあるのかも(笑)。人生、何が起こるかわからないですからね。
■何度観ても新たな感动が涌き上がる
この映画は基本的にはラブロマンスなのですが、今回あらためて観て、男の友情を描いた物语でもある気がしました。ラストの、リックとルノー署长とのやりとりなんて最高です。男同士の友情は女性よりも深いものがあっていいなあ、としみじみ思いました。同じ映画でも、こんなふうに観た时の年齢によって感じることが违うのも面白いですよね。
映画は大好きで、自宅でもBGM代わりに映画のDVDをつけたままにしたり、ロケ先にも必ず复数の映画のDVDを持参しています。特にシリアスで难しい役の时ほど、「私をジェットコースターでどこか违う世界へ连れてって」なんて考えるほど、思い切り気分転换したくなります。それを気軽に実现してくれるのが、私にとってはまさに映画なんです。
とはいえ、本当に観たいものは映画馆へ行きます。自宅だとつい他のことも気になって集中できないことも多いので。だから、映画馆の真っ暗な空间で、作品の世界にどっぷり浸るってものすごく赘沢なひとときでもあるわけです。
「新・午前十时の映画祭」は、なかなか映画馆で観ることのできない不朽の名作ばかりを上映してくれるのでうれしい。映画好きには本当にありがたいことです。「ローマの休日」「风と共に去りぬ」なども好きなので、この机会に映画馆で観たいです。「カサブランカ」も大スクリーンで観たら、また违った感情が涌き上がってきそう。何度観ても饱きないし、新たな感动を楽しめるのが不朽の名作の何よりの魅力です。(谈)
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うちやま・りな
1981年神奈川県生まれ。98年デビュー。テレビ、映画、CMの他、2008年からは积极的に舞台にも出演。映画主演作に「深红」「远くの空」など。3月30日から公开中の映画「恐竜を掘ろう」(大和田伸也监督)にも出演。BSジャパン「千の川物语~にっぽん美しき水风景」(隔周月曜夜10时54分~)のナレーションを担当。