歴代でも長い? “アイドル寿命”の定説を覆した「AKB48」の戦略
THE PAGE 2月14日(日)17時30分配信
[写真]長くトップアイドルの座を維持し続けているAKB48。写真は昨年末の「第57回 輝く!日本レコード大賞」でのパフォーマンス(MANTAN/アフロ)
「花のいのちは短くて」という言葉があるが、アイドル、とりわけ女性アイドルの全盛期は必ずしも長くない。世の中の嗜好が絶えず変化し、続々と「次の時代」を目指して新しいアイドルたちがデビューする中で、ずっとトップを走り続けることは容易ではない。昨年にグループ結成10周年を迎えたアイドルグループ「AKB48」。昨今の「アイドル戦国時代」を勝ち抜き、長らくトップアイドルであり続けている。その“寿命”はいつまで続くのだろうか。
【画像】「女性アイドルブーム」は曲がり角を迎えたのか?
勢いに陰り? ブランドはまだ健在?
AKB48は昨年、シングル総売上枚数は約3615万8000枚を記録し、「B’z」の約3580万9000枚を抜き、歴代1位の偉業を達成した。昨年大みそかに放送された「NHK紅白歌合戦」では、「AKB48」はダンス&ボーカルユニット「EXILE」と並び、歌手別視聴率で43.4%を記録(ビデオリサーチ調べ、関東地区)してトップとなり、存在感を示した。
AKB48にとって「紅白」は特別なステージだ。07年に初出場した際は、中川翔子やリア・ディゾンとともに3組セットでの“アキバ枠”での出場となり、出演時間もわずかだった。あれから8年の月日が流れ、グループ結成10周年の節目の年に並み居る人気アーティストを抑えて歌手別視聴率でトップを飾るまでに成長したのだから、現役&OGメンバーやファンの感慨もひとしおだろう。
だがその一方で、同年12月に発売された最新シングル『唇にBe My Baby』は、累積売上でミリオンを達成したものの、11年リリースの21stシングル『Everyday、カチューシャ』から、前作『ハロウィン・ナイト』まで21作連続していた“初日ミリオン”はならなかった。
さらに、相次ぐメンバーの卒業発表なども影響もあり、一部からは「AKB48のブームももう終わり」という厳しい声も出ているが……。
「確かにブームという意味では多少沈静化しているかもしれないけど、逆に言えば一過性の熱ではなく、その存在が完全に世間に定着したという見方もある。実際、テレビ番組なんかを見ても、『AKB48』や姉妹グループのメンバーたちの活躍は目立つし、グループとしてのブランドはまだまだ健在だと思うけどね」(芸能プロダクション関係者)
アイドルの全盛期は「3~5年」?
今後のAKB48の動向には興味がそそられるが、そもそも歴代のトップアイドルたちを見てもアイドルの“寿命”は短く、AKB48はその歴史上において異質な存在と言える。
「80年代を代表する人気アイドルだった松田聖子さんでいえば、80年の『風は秋色』から88年の『旅立ちはフリージア』まで24作で音楽チャート1位を記録していますが、85年6月に最初の結婚をしているので、アイドルという立場での絶頂期は、じつは5年ほどと言われています。同じく人気アイドルだった中森明菜さんや小泉今日子さん、中山美穂さんなどもアイドルとしての絶頂期は3~4年ほどというのが大方の見方です」
ソロアイドルに関しては、実力的な要素以外に一人の女性として恋愛や結婚といったプライベートの事情が絡んでくるので、旬が短いのは仕方のないところもある。
その点、グループアイドルはメンバーの入れ替えなどもあり、“アイドル寿命”は比較的長いとされるが、それでも「おニャン子クラブ」は実質的な活動期間は2年ほど、「モーニング娘。」も『抱いてHOLD ON ME!』を発表し、「紅白」初出場を遂げた98年からヒット曲の『ザ☆ピ~ス』をリリースした01年あたりまでの4~5年がピークとされている。
このあたりの“人気のピーク”に関する見解はさまざまで一概には断定できないが、例えば、AKB48が初めてシングルチャート1位を記録した『RIVER』は2009年10月の発売だ。他のアイドルやアイドルグループに比べて、AKB48が息が長いという点については大方の賛同を得るのではないか。
「会いに行ける」「総選挙」「姉妹グループ」
となると、気になるのはなぜAKB48は長期間にわたって人気を維持できているのかということだが、前出のアイドル誌編集者はこう語る。
「やはりファンとの親近感を大切にしているのがポイントだと思います。『AKB48』以前のアイドルは、基本的には芸能プロやレコード会社発信で、ある程度完成された段階で売り出される“商品”でした。一方、『AKB48』のメンバーはオーディションやレッスンは経ているものの、“商品”としてはかなり未完成の段階で、大々的なプロモーションなど大掛かりなプッシュを受けることもなく、劇場公演のステージに立つ。そこから人気が高かったり、ファンのウケが良いコが選抜メンバーとしてテレビなどのマスのメディアで露出していくわけですが、ベースが距離感の近い劇場なので、ファンからすると成長過程をより分かりやすく楽しむことができるし、自分が発掘したような感覚も抱きやすく、応援にも熱が入る。加えて、握手会などで直接会話や交流もできるので親近感もより増します。常設劇場を持ち、日々の劇場公演に力を入れている“会いに行けるアイドル” というコンセプトの勝利ではないでしょうか」
大ブレーク以降、劇場で主要メンバーに会うことはなかなか難しくなったものの、会いにいけるアイドルというコンセプトは斬新だった。さらに、そうしたメンバーの成長過程を如実に表現するシステムとして効果を発揮しているのが、「総選挙」だという。
「厳密に、総選挙の結果がそのままアイドルとしての成長に比例しているわけではないですが、一つの目安にはなるし、ファンからすれば投票という形で応援しているコのサクセスストーリーを共有できるわけです。このあたりは芸能界やスポーツ界で古くからある“タニマチ”に近い感覚なのかもしれませんね」(同アイドル誌編集者)
また、メンバー個々人のライバル関係はもちろん、AKB48グループ全体としては「SKE48」や「NMB48」、「HKT48」といった姉妹グループごと、さらに各グループのチームごとの競争もあり、メンバーたちが切磋琢磨し合っている点も見逃せない。
「恋チュン」など要所で生まれた大ヒット曲
こうした卓越したシステムにより、アイドル界の常識を覆す“寿命の長さ”を見せているAKB48だが、人気を維持できた背景にはあるシングル曲の存在も欠かせなかったと、レコード会社社員は振り返る。
「やはり13年に発売した『恋するフォーチュンクッキー』が大ヒットしたのは大きいでしょう。あの曲は、普段アイドルや『AKB48』に興味がない人たちもカラオケで歌ったり広く浸透しましたし、数多くの地方自治体や会社などが振付を真似た映像を動画投稿共有サイトにアップしたりと、社会現象にもなりましたからね。音楽チャートで74週連続チャートインするなど、昨今の音楽業界ではマレなロングセラーになりました」
そんなAKB48にとって、今後の最大の課題と言われているのが世代交代だが、「エースの前田敦子さんが抜けた後に『恋チュン』というヒット曲が生まれたのは、”世代交代“という点においても追い風になったと思います。実際、センターを務めた指原莉乃さんの認知度アップにも繋がりましたしね。当時よりもさらに世間的な知名度の高いメンバーが卒業し、世代交代に苦戦している印象のある今こそ、『AKB48』としては『恋チュン』クラスのメガヒット曲を生み出したいところではないでしょうか」(同レコード会社社員)
世代交代の渦中にあるAKB48だが、果たして「恋チュン」に匹敵する名曲を世に放ち、さらに“寿命”を伸ばすことができるのか?
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没啥干货.
THE PAGE 2月14日(日)17時30分配信
[写真]長くトップアイドルの座を維持し続けているAKB48。写真は昨年末の「第57回 輝く!日本レコード大賞」でのパフォーマンス(MANTAN/アフロ)
「花のいのちは短くて」という言葉があるが、アイドル、とりわけ女性アイドルの全盛期は必ずしも長くない。世の中の嗜好が絶えず変化し、続々と「次の時代」を目指して新しいアイドルたちがデビューする中で、ずっとトップを走り続けることは容易ではない。昨年にグループ結成10周年を迎えたアイドルグループ「AKB48」。昨今の「アイドル戦国時代」を勝ち抜き、長らくトップアイドルであり続けている。その“寿命”はいつまで続くのだろうか。
【画像】「女性アイドルブーム」は曲がり角を迎えたのか?
勢いに陰り? ブランドはまだ健在?
AKB48は昨年、シングル総売上枚数は約3615万8000枚を記録し、「B’z」の約3580万9000枚を抜き、歴代1位の偉業を達成した。昨年大みそかに放送された「NHK紅白歌合戦」では、「AKB48」はダンス&ボーカルユニット「EXILE」と並び、歌手別視聴率で43.4%を記録(ビデオリサーチ調べ、関東地区)してトップとなり、存在感を示した。
AKB48にとって「紅白」は特別なステージだ。07年に初出場した際は、中川翔子やリア・ディゾンとともに3組セットでの“アキバ枠”での出場となり、出演時間もわずかだった。あれから8年の月日が流れ、グループ結成10周年の節目の年に並み居る人気アーティストを抑えて歌手別視聴率でトップを飾るまでに成長したのだから、現役&OGメンバーやファンの感慨もひとしおだろう。
だがその一方で、同年12月に発売された最新シングル『唇にBe My Baby』は、累積売上でミリオンを達成したものの、11年リリースの21stシングル『Everyday、カチューシャ』から、前作『ハロウィン・ナイト』まで21作連続していた“初日ミリオン”はならなかった。
さらに、相次ぐメンバーの卒業発表なども影響もあり、一部からは「AKB48のブームももう終わり」という厳しい声も出ているが……。
「確かにブームという意味では多少沈静化しているかもしれないけど、逆に言えば一過性の熱ではなく、その存在が完全に世間に定着したという見方もある。実際、テレビ番組なんかを見ても、『AKB48』や姉妹グループのメンバーたちの活躍は目立つし、グループとしてのブランドはまだまだ健在だと思うけどね」(芸能プロダクション関係者)
アイドルの全盛期は「3~5年」?
今後のAKB48の動向には興味がそそられるが、そもそも歴代のトップアイドルたちを見てもアイドルの“寿命”は短く、AKB48はその歴史上において異質な存在と言える。
「80年代を代表する人気アイドルだった松田聖子さんでいえば、80年の『風は秋色』から88年の『旅立ちはフリージア』まで24作で音楽チャート1位を記録していますが、85年6月に最初の結婚をしているので、アイドルという立場での絶頂期は、じつは5年ほどと言われています。同じく人気アイドルだった中森明菜さんや小泉今日子さん、中山美穂さんなどもアイドルとしての絶頂期は3~4年ほどというのが大方の見方です」
ソロアイドルに関しては、実力的な要素以外に一人の女性として恋愛や結婚といったプライベートの事情が絡んでくるので、旬が短いのは仕方のないところもある。
その点、グループアイドルはメンバーの入れ替えなどもあり、“アイドル寿命”は比較的長いとされるが、それでも「おニャン子クラブ」は実質的な活動期間は2年ほど、「モーニング娘。」も『抱いてHOLD ON ME!』を発表し、「紅白」初出場を遂げた98年からヒット曲の『ザ☆ピ~ス』をリリースした01年あたりまでの4~5年がピークとされている。
このあたりの“人気のピーク”に関する見解はさまざまで一概には断定できないが、例えば、AKB48が初めてシングルチャート1位を記録した『RIVER』は2009年10月の発売だ。他のアイドルやアイドルグループに比べて、AKB48が息が長いという点については大方の賛同を得るのではないか。
「会いに行ける」「総選挙」「姉妹グループ」
となると、気になるのはなぜAKB48は長期間にわたって人気を維持できているのかということだが、前出のアイドル誌編集者はこう語る。
「やはりファンとの親近感を大切にしているのがポイントだと思います。『AKB48』以前のアイドルは、基本的には芸能プロやレコード会社発信で、ある程度完成された段階で売り出される“商品”でした。一方、『AKB48』のメンバーはオーディションやレッスンは経ているものの、“商品”としてはかなり未完成の段階で、大々的なプロモーションなど大掛かりなプッシュを受けることもなく、劇場公演のステージに立つ。そこから人気が高かったり、ファンのウケが良いコが選抜メンバーとしてテレビなどのマスのメディアで露出していくわけですが、ベースが距離感の近い劇場なので、ファンからすると成長過程をより分かりやすく楽しむことができるし、自分が発掘したような感覚も抱きやすく、応援にも熱が入る。加えて、握手会などで直接会話や交流もできるので親近感もより増します。常設劇場を持ち、日々の劇場公演に力を入れている“会いに行けるアイドル” というコンセプトの勝利ではないでしょうか」
大ブレーク以降、劇場で主要メンバーに会うことはなかなか難しくなったものの、会いにいけるアイドルというコンセプトは斬新だった。さらに、そうしたメンバーの成長過程を如実に表現するシステムとして効果を発揮しているのが、「総選挙」だという。
「厳密に、総選挙の結果がそのままアイドルとしての成長に比例しているわけではないですが、一つの目安にはなるし、ファンからすれば投票という形で応援しているコのサクセスストーリーを共有できるわけです。このあたりは芸能界やスポーツ界で古くからある“タニマチ”に近い感覚なのかもしれませんね」(同アイドル誌編集者)
また、メンバー個々人のライバル関係はもちろん、AKB48グループ全体としては「SKE48」や「NMB48」、「HKT48」といった姉妹グループごと、さらに各グループのチームごとの競争もあり、メンバーたちが切磋琢磨し合っている点も見逃せない。
「恋チュン」など要所で生まれた大ヒット曲
こうした卓越したシステムにより、アイドル界の常識を覆す“寿命の長さ”を見せているAKB48だが、人気を維持できた背景にはあるシングル曲の存在も欠かせなかったと、レコード会社社員は振り返る。
「やはり13年に発売した『恋するフォーチュンクッキー』が大ヒットしたのは大きいでしょう。あの曲は、普段アイドルや『AKB48』に興味がない人たちもカラオケで歌ったり広く浸透しましたし、数多くの地方自治体や会社などが振付を真似た映像を動画投稿共有サイトにアップしたりと、社会現象にもなりましたからね。音楽チャートで74週連続チャートインするなど、昨今の音楽業界ではマレなロングセラーになりました」
そんなAKB48にとって、今後の最大の課題と言われているのが世代交代だが、「エースの前田敦子さんが抜けた後に『恋チュン』というヒット曲が生まれたのは、”世代交代“という点においても追い風になったと思います。実際、センターを務めた指原莉乃さんの認知度アップにも繋がりましたしね。当時よりもさらに世間的な知名度の高いメンバーが卒業し、世代交代に苦戦している印象のある今こそ、『AKB48』としては『恋チュン』クラスのメガヒット曲を生み出したいところではないでしょうか」(同レコード会社社員)
世代交代の渦中にあるAKB48だが、果たして「恋チュン」に匹敵する名曲を世に放ち、さらに“寿命”を伸ばすことができるのか?
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没啥干货.