「ともかく、ティエラは回復に専念するにゃ! 不用意に前に出て来るんじゃないにゃ!」
『あれ? ティエラさんってヒーラーなんですか? じゃあ、何でさっきまで双剣持って突撃してたんです?』
『ミニア。質問の意図が理解不能。当機のデータでは、ティエラの戦闘は“ヒーラー”の戦い方として何の問題も無いと判断できる』
『……は? ちなみに、そのデータってサンプルどれくらいあるんです?』
『当機は最近まで封印処理を施されていた。また、かつてのデータは現在の「カオス」との比較には適さないと判断したため、参考としていない。結果、当機の有する“ヒーラー”のデータは89.9%が“ティエラ・アス”のモノである』
『ポンコツ過ぎません? 問題しかないじゃないですか』
マジごめん。あれだけドヤ顔で「ここはオレに任せろ!」ムーブしたくせに、全く戦力にならない役立たずです。
「ナナシ、何かスゲェ火力の爆弾とかねぇのかよ」
「無いわけではござらん。ただし、周囲一帯焼け野原になる代物。これだけの混戦では使い物にならぬかと。巻き添えで全員あの世逝きにござろうな」
「おい待て。半分冗談だったんだが? おまえ普段からそんな危険なモン持ち歩いてんの? マジで?」
「……やば。……こほん。ただの忍者ジョークにござる」
「いや、流石にそれは無理があるだろ」
「とにもかくにも、必要なのは大森林への進行を少しでも遅らせる事。この大軍を全滅など出来るはずもござらん」
「話逸らしやがったな……。だけどよ、コイツら俺たちの事なんて眼中にない感じだぜ。攻撃仕掛けたら排除しようとして来るが、それだけだ」
パドロン君の言う通りだ。機兵たちは真っ直ぐ森林へと向かうだけ。
排除行動に移るのは、こちらから攻撃を仕掛けたり進行方向に立ち塞がったりした時のみ。
これでは、大森林への進行を遅らせるなんて不可能。キズナ君たちの説得の時間を稼ぐ事も出来ない。
『アレは大森林を攻めるという1つのコマンドを実行しているだけです。その過程で遂行を阻害する要因は排除しているに過ぎません。逆を言えば、任務遂行に際して優先的に排除すべき圧倒的脅威である~……そんな風に認識させることが出来れば、この大軍でも止めることが出来るでしょう』
ナナシ君とパドロン君の会話にミニアが割り込む。
……ふむ。
つまり、大森林進行よりも優先しなければならない程の脅威……それも機兵全軍で対処すべき状況を作り出せば足止めは可能、と。そういうことか。
『ですけど~、ミカニアの誇る兵器が脅威と認識する存在なんて滅多に無いわけで~……』
よし。ずっと考えていたアレをやってみよう。
成功する保証なんて微塵も無いけれど。〝ただの回復要因〟で目立たず終わるのは御免被る。
「テトマ。こうなったらアレをやりましょう」
『疑問。アレとは』
「つまりですね……ごにょごにょ……」
『……把握。確かに効果的な作戦だと判断』
ふっふっふ。刮目するが良い、ユーザー!
◆◆◆
「テトマ!」
『――承認。パイロットNo.1“ティエラ・アス”』
ティエラが蒼いクリスタルを天に掲げ、青き光が溢れ出す。
緑髪の女性は、そのまま眩き光の中へと包まれる。
「っ!? 何をするつもりだ、ティエラさん!?」
発動するは、テトマ・ネシテアが有する唯一の能力―――集積。
過去現在未来、あらゆる世界の壁を越えて。パーツを集めて1つの力とする機能。
かつて、戦争の為に生み出され、悠久の眠りにあった力。
其は、星の精霊の声に応え、ここに新たな力として目覚める。
「あれは手足!? まさか、機兵には機兵という事でござるか……!?」
戦闘で分離した機兵たちのパーツ。それらが一斉にクリスタルに集う。
黒い機兵のパーツは、クリスタルの力を受けて蒼に染まり。
身の丈は優に3メートルに届き。
二つの手は武骨な双剣を握りしめ。足は力強く地を踏みしめて。
今ここに、鋼鉄の巨人が顕現する。
「さて。人型ロボット……というよりは大きさ的にはパワードスーツですか。ともかく、こういう代物には、それなりの名前があるべきですよね」
『疑問。それは何故か』
「勿論、格好良いからですよ」
『……理解。……機体名称をT²ティーツーとすることを提案する』
「それっぽいですけど……由来は?」
『“テトマ”と“ティエラ”でT×T。よってT²である』
「凄く良いですね、採用です」
機兵の軍勢、そのモノアイが一斉に向けられる。早急に対処すべき「脅威」であると、そう判断されたのだろう。
巨人……否。T²はジャンクパーツの双剣をグルグルと回し、機兵たちを更に挑発する。
「T²発進! ティエラ・アス、行っきまーす!」
「いや、何やってるニャ」
「……まま、かっこいい」
「あとでルネも乗せてあげますよ。そのためにも、さっさと片付けてしまいましょう」
『あれ? ティエラさんってヒーラーなんですか? じゃあ、何でさっきまで双剣持って突撃してたんです?』
『ミニア。質問の意図が理解不能。当機のデータでは、ティエラの戦闘は“ヒーラー”の戦い方として何の問題も無いと判断できる』
『……は? ちなみに、そのデータってサンプルどれくらいあるんです?』
『当機は最近まで封印処理を施されていた。また、かつてのデータは現在の「カオス」との比較には適さないと判断したため、参考としていない。結果、当機の有する“ヒーラー”のデータは89.9%が“ティエラ・アス”のモノである』
『ポンコツ過ぎません? 問題しかないじゃないですか』
マジごめん。あれだけドヤ顔で「ここはオレに任せろ!」ムーブしたくせに、全く戦力にならない役立たずです。
「ナナシ、何かスゲェ火力の爆弾とかねぇのかよ」
「無いわけではござらん。ただし、周囲一帯焼け野原になる代物。これだけの混戦では使い物にならぬかと。巻き添えで全員あの世逝きにござろうな」
「おい待て。半分冗談だったんだが? おまえ普段からそんな危険なモン持ち歩いてんの? マジで?」
「……やば。……こほん。ただの忍者ジョークにござる」
「いや、流石にそれは無理があるだろ」
「とにもかくにも、必要なのは大森林への進行を少しでも遅らせる事。この大軍を全滅など出来るはずもござらん」
「話逸らしやがったな……。だけどよ、コイツら俺たちの事なんて眼中にない感じだぜ。攻撃仕掛けたら排除しようとして来るが、それだけだ」
パドロン君の言う通りだ。機兵たちは真っ直ぐ森林へと向かうだけ。
排除行動に移るのは、こちらから攻撃を仕掛けたり進行方向に立ち塞がったりした時のみ。
これでは、大森林への進行を遅らせるなんて不可能。キズナ君たちの説得の時間を稼ぐ事も出来ない。
『アレは大森林を攻めるという1つのコマンドを実行しているだけです。その過程で遂行を阻害する要因は排除しているに過ぎません。逆を言えば、任務遂行に際して優先的に排除すべき圧倒的脅威である~……そんな風に認識させることが出来れば、この大軍でも止めることが出来るでしょう』
ナナシ君とパドロン君の会話にミニアが割り込む。
……ふむ。
つまり、大森林進行よりも優先しなければならない程の脅威……それも機兵全軍で対処すべき状況を作り出せば足止めは可能、と。そういうことか。
『ですけど~、ミカニアの誇る兵器が脅威と認識する存在なんて滅多に無いわけで~……』
よし。ずっと考えていたアレをやってみよう。
成功する保証なんて微塵も無いけれど。〝ただの回復要因〟で目立たず終わるのは御免被る。
「テトマ。こうなったらアレをやりましょう」
『疑問。アレとは』
「つまりですね……ごにょごにょ……」
『……把握。確かに効果的な作戦だと判断』
ふっふっふ。刮目するが良い、ユーザー!
◆◆◆
「テトマ!」
『――承認。パイロットNo.1“ティエラ・アス”』
ティエラが蒼いクリスタルを天に掲げ、青き光が溢れ出す。
緑髪の女性は、そのまま眩き光の中へと包まれる。
「っ!? 何をするつもりだ、ティエラさん!?」
発動するは、テトマ・ネシテアが有する唯一の能力―――集積。
過去現在未来、あらゆる世界の壁を越えて。パーツを集めて1つの力とする機能。
かつて、戦争の為に生み出され、悠久の眠りにあった力。
其は、星の精霊の声に応え、ここに新たな力として目覚める。
「あれは手足!? まさか、機兵には機兵という事でござるか……!?」
戦闘で分離した機兵たちのパーツ。それらが一斉にクリスタルに集う。
黒い機兵のパーツは、クリスタルの力を受けて蒼に染まり。
身の丈は優に3メートルに届き。
二つの手は武骨な双剣を握りしめ。足は力強く地を踏みしめて。
今ここに、鋼鉄の巨人が顕現する。
「さて。人型ロボット……というよりは大きさ的にはパワードスーツですか。ともかく、こういう代物には、それなりの名前があるべきですよね」
『疑問。それは何故か』
「勿論、格好良いからですよ」
『……理解。……機体名称をT²ティーツーとすることを提案する』
「それっぽいですけど……由来は?」
『“テトマ”と“ティエラ”でT×T。よってT²である』
「凄く良いですね、採用です」
機兵の軍勢、そのモノアイが一斉に向けられる。早急に対処すべき「脅威」であると、そう判断されたのだろう。
巨人……否。T²はジャンクパーツの双剣をグルグルと回し、機兵たちを更に挑発する。
「T²発進! ティエラ・アス、行っきまーす!」
「いや、何やってるニャ」
「……まま、かっこいい」
「あとでルネも乗せてあげますよ。そのためにも、さっさと片付けてしまいましょう」