「そうだって聞いてんな。実際のとこ、埋めてある骨が誰のかなんて知りゃしねェよ。ここは強欲の魔女の墓場で、少なくとも村の連中も俺様もそう教わってる」
イマイチ、違和感の生じる答えではあったがスバルはその違和をひとまず呑み込む。それから、先ほどの発言の中でも気になった単語をいくつかピックアップ。
重要そうなのは『試練』と『資格』の二つだ。
「墓所の中で始まるっていう、『試練』ってのはなんだ? ぶっちゃけ、ここ数週間の経験で俺はその単語に対していい印象ってのがまるでないんだけど」
「安心しろや、試されんのなんざ俺様も嫌いだかんよ。で、まァ『試練』なんだが……内容は知らねェ」
「おい」
「怒んなっての。ふざけてるわけじゃねェよ。ただ、墓所の中でそれが起きるってことだけは知ってんだ。その『試練』が突破できなきゃ、この行き詰まりの実験場から解放されねェってこともな」
「解放って……誰が?」
「それが『資格』ってやつになんだよ。資格のある奴ァ、実験場から出られねェ。『試練』が終わらない限り、魔女の所有欲ってやつが手放してくんねェんだと」
煮え切らない答えだが、ガーフィールもわざと曲解させるような発言をしているわけではないらしい。彼なりに噛み砕いて、理解している内容を口にしている。それでも要領を得た答えにならないのは、彼の中ですらそれらが曖昧だからなのだろう。
ただ、今の断片的な答えを繋ぎ合わせて、スバルは己の中に現状認識という形で答えを得ようとする。そして、散らばったピースを組み合わせて出した答えは、
「墓所に入れるのは資格のある人だけで、その資格のある人が試練を乗り越えないと『聖域』からは出られない……ってことか?」
「あァ……? そんな感じ……か?」
「わりと噛み砕いたのにこれでもダメなのかよ……」
首をひねって、おそらくわかっていないだろう頼りない返答のガーフィール。その彼への態度を一端保留し、スバルは傍らのエミリアを見た。彼女はスバルの視線を受け、今の答えに対する彼女なりの結論を舌に乗せ、
「さっき私、この『聖域』に入ったとき、意識が途切れたけど……あれが、そうだったっていうこと?」
「あそこが境界線で、出られる範囲を跨いだから気絶させられた? いやでも、俺もオットーもあのときピンピンして……」
「そら資格がねェからだろうよ」
突然のエミリアの意識不明の事態、その答えを得たところでガーフィールが横槍。彼はスバルを指差し、それからエミリアを反対の手で指差しながら、
「ハーフエルフのエミリア様は資格がある。けど、純血で人間一直線なスバルは資格がねェ。だから出入り自由。でも、試練は受けられねェってこった」
「待て待てウェイト。つまりなんだ、今の台詞を考慮するに、こういうことか?」
息を止めて、スバルは思考を整理。そして、ガーフィールと初対面のとき、そして彼が『聖域』へスバルたちを案内したときの発言を思い出して、気付いた。
「試練を受けられるのはハーフエルフ……いや、人間と亜人のハーフ。んでもってこの『聖域』で暮らしてる人たちってのは、みんなそういう立場なんだと」
イマイチ、違和感の生じる答えではあったがスバルはその違和をひとまず呑み込む。それから、先ほどの発言の中でも気になった単語をいくつかピックアップ。
重要そうなのは『試練』と『資格』の二つだ。
「墓所の中で始まるっていう、『試練』ってのはなんだ? ぶっちゃけ、ここ数週間の経験で俺はその単語に対していい印象ってのがまるでないんだけど」
「安心しろや、試されんのなんざ俺様も嫌いだかんよ。で、まァ『試練』なんだが……内容は知らねェ」
「おい」
「怒んなっての。ふざけてるわけじゃねェよ。ただ、墓所の中でそれが起きるってことだけは知ってんだ。その『試練』が突破できなきゃ、この行き詰まりの実験場から解放されねェってこともな」
「解放って……誰が?」
「それが『資格』ってやつになんだよ。資格のある奴ァ、実験場から出られねェ。『試練』が終わらない限り、魔女の所有欲ってやつが手放してくんねェんだと」
煮え切らない答えだが、ガーフィールもわざと曲解させるような発言をしているわけではないらしい。彼なりに噛み砕いて、理解している内容を口にしている。それでも要領を得た答えにならないのは、彼の中ですらそれらが曖昧だからなのだろう。
ただ、今の断片的な答えを繋ぎ合わせて、スバルは己の中に現状認識という形で答えを得ようとする。そして、散らばったピースを組み合わせて出した答えは、
「墓所に入れるのは資格のある人だけで、その資格のある人が試練を乗り越えないと『聖域』からは出られない……ってことか?」
「あァ……? そんな感じ……か?」
「わりと噛み砕いたのにこれでもダメなのかよ……」
首をひねって、おそらくわかっていないだろう頼りない返答のガーフィール。その彼への態度を一端保留し、スバルは傍らのエミリアを見た。彼女はスバルの視線を受け、今の答えに対する彼女なりの結論を舌に乗せ、
「さっき私、この『聖域』に入ったとき、意識が途切れたけど……あれが、そうだったっていうこと?」
「あそこが境界線で、出られる範囲を跨いだから気絶させられた? いやでも、俺もオットーもあのときピンピンして……」
「そら資格がねェからだろうよ」
突然のエミリアの意識不明の事態、その答えを得たところでガーフィールが横槍。彼はスバルを指差し、それからエミリアを反対の手で指差しながら、
「ハーフエルフのエミリア様は資格がある。けど、純血で人間一直線なスバルは資格がねェ。だから出入り自由。でも、試練は受けられねェってこった」
「待て待てウェイト。つまりなんだ、今の台詞を考慮するに、こういうことか?」
息を止めて、スバルは思考を整理。そして、ガーフィールと初対面のとき、そして彼が『聖域』へスバルたちを案内したときの発言を思い出して、気付いた。
「試練を受けられるのはハーフエルフ……いや、人間と亜人のハーフ。んでもってこの『聖域』で暮らしてる人たちってのは、みんなそういう立場なんだと」